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【ディスクロージャー】統合報告書を出したい

 

「統合報告」の背景に“行き過ぎた短期偏重”

最近メディア等で「統合報告」という言葉を目にする機会が増えました。ただ、統合報告書を単に「アニュアルレポートとCSR報告書を“統合”したもの」と考えている向きも少なくないなど、その本質についてはいまだに誤解が少なくありません。

CSR報告書 : 環境への配慮や社会貢献といった企業の社会的責任(CSR)を果たすための取組みをまとめた報告書のこと。 別名「サステナビリティ・レポート(持続可能性報告書)」「社会環境報告書」。

統合報告とは「企業の持続的な成長を伝えるプロセス」であり、統合報告書は統合報告の成果物(アウトプット)と言えます。

統合報告が普及するきっかけともなったIIRC(International Integrated Reporting Council=国際統合報告評議会)が2013年12月に公表した「国際統合報告フレームワーク」では、統合報告を「企業がどのように持続的な成長を実現しようとしているのかについて報告するもの」と定義しています。具体的には、ビジネス上の様々な問題にどのように対処するのか、自社の将来性をどのようにとらえているのか、中長期的な経営戦略をどのように描くのか、なぜその戦略を取るのか、バリュードライバーは何か、経営目標の達成度合いはどうか、長期にわたりどのように企業価値を作り出そうとしているのか、といった内容の報告であり、そこには「非財務情報」が多数含まれることになります。

バリュードライバー : 企業価値に影響を与える要素で、企業価値を評価する際に利用される。例えば、売上高伸び率、営業利益率、運転資本増減率、設備投資率、資本コストなどがバリュードライバーとして挙げられる。逆に言うと、これらをコントロールすることにより企業価値が向上することになる。

統合報告という考え方が出てきた背景にあるのが、“行き過ぎた短期主義”です。行き過ぎた短期主義は、英国でも「資本市場が抱える問題点」の1つとして、ケイレビュー(Kay Review(英国株式市場の構造的問題や上場企業行動、コーポレートガバナンスについて調査・分析を行ったレポート。2012年7月公表。ケイレビューという名称は、作成者のジョン・ケイ氏からとっている)の中でも指摘されています。

日本国内でも2014年8月に“日本版ケイレビュー”と言える「伊藤レポート」が経済産業省から公表されましたが、同レポートでは、ケイレビューで指摘されている点に加え、日本独自の課題についても検証が行われています。両レポートで共通して指摘されているのは「長期志向による金融市場の安定化」ですが、伊藤レポートでは、日本企業に対して「資本効率の改善」を求めています。これらの課題を企業の「開示」という側面から克服しようという試みが統合報告です。

資本効率 : 調達した資本の運用効率のことであり、代表的な指標としてはROE(資本利益率)やROA(総資産利益率)がある。

統合報告書が投資家との建設的な対話のベースに

また、統合報告書に対するニーズの高まりの背景には、海外機関投資家の変化もあります。PRI(国連責任投資原則)に署名する機関投資家は拡大の一途をたどり、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資の運用資産総額はグローバルで6兆1,760億米ドル(2012年)に達しています。これはいわゆるエコファンドや社会貢献型投資を行う投資家に限った話ではありません。むしろその中心にいるのはメインストリームの投資家(投資信託、投資顧問等)であり、こうした投資家は、財務情報と同じように、非財務情報であるESGデータを投資情報として利用しています。

PRI(国連責任投資原則) : 2006年に国連が提唱したもので、機関投資家の投資判断プロセスにESG(環境、社会、ガバナンス)を反映させるべきであることや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどが盛り込まれている。これに署名した機関投資家は、国連に投資の状況を報告する義務が生じるため、ESGを重視した投資を実践せざるを得ない。

アクティビストにも変化があります。アクティビストは「モノ言う株主」としてひとくくりにされていますが、米国では、・・・

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統合報告を巡る国内外のトレンド

日本企業で、統合報告書を出している企業は2014年12月末時点で142社となっています(142社のうちほとんどは上場企業。具体的な企業名はこちらを参照)。下表のとおり、企業数は近年急増しており、今後もこの傾向が続くことが予想されます。・・・

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統合報告書には何を記載する?

統合報告書の作成において是非参考にしたいのが、・・・

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統合報告に挑戦するメリット

統合報告に対するよくある誤解が、「統合報告は、アニュアルレポートとCSR報告書(サステナビリティ・レポート(持続可能性報告書)、社会環境報告書とも呼ばれる)の合冊である」というものです。実際、統合報告書を読むと「合冊じゃないか」と思われることがあるかも知れませんが、その背景には、日本企業の中には、統合報告の作成に挑戦する第一段階として、「合冊でもいいからまず発行しよう」という意識のところが少なくないということがあります。こうした企業の統合報告書を経年で分析すると、時間の経過ともに統合報告の本質に対する企業の理解が進むことで、大きな進化が見られるのが通常です。逆に言うと、あまり変化がない場合は、企業が統合報告について正しく理解していない可能性があります。

統合報告は単なる「レポート」の話ではありません。企業は、統合報告書の作成プロセスの中で自社の長期的価値などについて深く検討することになります。このため、統合報告書を作成すること自体が経営改善につながるという指摘は数多く聞かれます。統合報告のメリットとしては、具体的には以下のようなものが挙げられます。・・・

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優れた統合報告の事例

日本企業の中にも、既に優れた統合報告を行っているところがあります。国内の代表的な2つの統合報告表彰制度における最近の受賞企業を見てみましょう。・・・

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