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【配当】配当予想を修正したい

 

株主総会前に配当予想を行うことの是非

配当予想とは、上場会社が来期の配当の「予想額」を公表することであり、決算短信の開示に合わせて行われます。配当予想額は、決算短信の冒頭部分にある「サマリー情報」の下の方(通常は2ページ目の下部)に、「配当の状況」の題名で、前期・当期の配当実績と合わせて記載されます。

会社法上、配当金額は「株主総会の決議」によって決定されるのが原則です(会社法454条1項)。ただし、中間配当については、「取締役会の決議によって剰余金の配当を行う」旨を定款に定めるだけで、1事業年度の途中において行う「1回」に限り、取締役会の決議のみによって行うことができます(会社法454条5項)。また、一定の要件を満たす会社は、定款による授権により、中間配当以外の場合であっても取締役会の権限で期中に配当することが可能とされています。このような中間配当や随時配当といった例外を除くと、配当は株主総会の決議で“最終決定”されるのが原則です。

ところが、定時株主総会の1年以上前に、取締役会や経営会議等で来期の配当見込み額を予想し、これを今期の決算短信において配当予想額として公表する上場会社が少なくありません。また、前期に予想した今期の配当予想額のうち期末の配当金の額も、決算短信の公表時点では、いまだ株主総会の決議を経ているわけではありません。

このように会社法では「株主総会で決定する」ことになっている配当額を、株主総会での決議を経ない段階で会社の経営者の判断により公表しても良いものでしょうか。

この点、証券取引所の適時開示ルールで公表される配当予想額は、文字通りあくまで「予想」に過ぎないため、配当額を最終的に決定するのは株主総会であるという会社法のルールに抵触しているわけではありません。一方、実際の配当額が事前に予想した額に満たない場合には投資家の信頼を損ねるという問題が発生しますが、配当予想額の公表は投資家のニーズでもあるため、来期になってから開催される定時株主総会に上程する予定の配当議案は可決される見込みが高いと経営者が判断している限りは、株主総会の前に経営者の判断で公表することもやむを得ないと言えるでしょう。

配当予想の修正を行った場合に必要な手続き

もっとも、「予想」は外れることもあります。例えば、当初の予想よりも業績が相当程度変動し、分配可能額が想定より大きく変動しそうな場合、分配可能額や発行済株式総数等の配当の前提に大きく影響を与える企業再編等が決定し配当方針の変更が必要になった場合、株主からの増配要求を受け入れる場合などには、配当予想を修正すべきかの検討が行われることになります。

配当予想額が当初発表値から“少しでも”変更された場合には、・・・

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配当予想修正の株価への影響

では、配当予想の修正を公表するとどのような影響があるのでしょうか。

株主は、投資の意思決定をする際に、「配当額 ÷ 株価」により「配当利回り」を計算し、これを他の銘柄の株式、あるいは株式以外の投資先(債券等)と比較することで、投資の判断材料の1つにしています。また、「配当額 ÷ 当期純利益」により求められる「配当性向」にも高い関心を持っており、会社が獲得した利益のうちどの程度を株主に還元するのかという経営方針(「経営者の姿勢」と言ってもいいかも知れません)もしっかりと見ています。

そのような中、当初の予想よりも配当金額を少なくしたり、またはゼロ(無配)にしたりといった配当予想の修正を行うと、・・・

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「配当予想修正の理由」は投資家心理に大きな影響

配当予想の修正を公表する際には、前回予想額、今回予想額と合わせて、「配当予想修正の理由」の記載も求められます。

配当予想の修正は、「業績予想の修正」と一緒に発表されるケースが少なくありません。この場合、配当予想の修正は業績予想が変わったことに起因しますので、配当予想修正の理由には「業績予想の修正の理由に記載のとおり」という表現が使われるケースをよく目にします。

これに対し、業績予想の修正とは異なる理由によって配当予想を修正する場合には、・・・

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“見切り発車”による配当予想のリスクとその回避方法

配当予想の修正は、株価の乱高下を招く恐れがあるだけでなく、投資家に「配当予想をする能力がない会社」との烙印を押されることにもなりかねません。配当予想の修正が毎年のように続けば、「あの会社が開示する情報は信用できない」といった情報開示に対するマイナス評価が固定化し、中長期的には株価に悪い影響を与える可能性があります。

そこで、配当予想の修正を回避するために、・・・

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