東証要請への非対応企業が抱えるリスク

近年、資本効率が投資家の大きな関心事となる中、3月決算企業の2025年株主総会では「資本コスト」に関連する株主提案が相次いでいる。


資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

“資本コスト元年”と言われる2024年は、東京証券取引所が2023年3月にプライムおよびスタンダード市場上場企業に向け「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」(以下、東証要請)を公表したことを契機に、企業、投資家ともに資本効率や株価水準への意識を一段と高める年となった。この傾向は今年(2025年)も続いており、「資本コスト」は投資家と上場企業の対話における最重要論点の一つとして定着した感がある。

当フォーラムが、東京証券取引所に上場する3月決算企業のうち株主提案を受けた企業を対象として、提案理由に「資本コスト」という文言が含まれているかどうかを調査したところ、・・・

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