サステナビリティに関する「リスク及び機会」とは?

サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は今年(2025年)3月5日にサステナビリティ開示基準を公表しているが(2025年2月25日のニュース「サステナビリティ開示基準が決定、公開草案からの変更点は?」参照)、サステナビリティ開示基準が情報提供を求めているのが、企業の見通し(キャッシュ・フロー、資本コストなど)に影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連の「リスク及び機会」だ。ただ、サステナビリティ開示基準には、サステナビリティ関連の「リスク及び機会」を直接的に定義した規定は存在しない。果たして、サステナビリティ関連の「リスク及び機会」とは具体的に何を意味するのだろうか。


資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

一般的に「リスク」とは、特定の出来事や状況が発生し、それが企業の経営成績等に“悪影響”を及ぼす可能性を指す一方、「機会」とは、特定の出来事や状況が発生し、それが企業の経営成績等に“有利”に働く可能性を指す。いずれも“不確実性”に関連しているため、「リスク及び機会」を適切に識別し、管理することは企業のサステナビリティに寄与することになる。上述のとおりサステナビリティ開示基準ではサステナビリティ関連の「リスク及び機会」を直接的に定義していないが、サステナビリティの文脈で定義するならば、・・・

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