投資家が求める開示を強く要請 改訂版・人的資本可視化指針のポイント

人的資本が企業価値の源泉であるとの認識が広がる中、内閣官房は(2026年)1月20日、「人的資本可視化指針(改訂版)」を公表している(2026年2月10日までパブリックコメントを募集中)。総理大臣の直属部局であり、政府全体の司令塔としての役割を担う内閣官房が「人的資本」というテーマを扱っているのは、このテーマが単一の省庁の枠を超えた政府全体の「重要政策」として位置づけられているからに他ならない。今回の改訂は単なる開示項目の追加や記載方法の修正ではなく、企業に対して「人への投資を経営戦略とどのように結びつけて説明するのか」を明確に求めるものとなっている。

2025年11月には金融庁が「企業内容等の開示に関する内閣府令」(開示府令)の改正案を公表し、有価証券報告書において、企業戦略と関連付けた人材戦略およびそれを踏まえた従業員給与等の決定方針の開示を義務付けることとしたところ(【特集】 ~SSBJ基準が義務化、人的資本開示で新たな展開も~ 令和7年・開示府令改正案のポイント【後編】参照)。今回の人的資本可視化指針の改訂は、開示府令の改正を受け、企業が有価証券報告書等において「経営戦略と人材戦略の関係」をどのように説明すべきかについての考え方を示すものと位置づけられる。

2022年に策定された初版の人的資本可視化指針は、日本企業における人的資本に関する情報の開示を大きく前進させた。女性管理職比率や育児休業取得率といった比較可能な指標の開示は着実に広がり、人的資本が経営課題として認識される契機となったことは間違いない。一方で、多くの企業においては単なる数値指標の開示にとどまり、人的資本が将来の収益力や競争優位にどのように貢献しているのかを説明できていないという課題が浮き彫りになっている。

これは、日本企業の人的資本投資をデータで見ればさらに明確になる。・・・

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