2025年6月26日に確定した日本版スチュワードシップ・コード(第三次改訂版)では、原則4に新たな指針として下記の4-2が追加されている。実質株主の保有株式数については、従来は注記で「説明することが望ましい場合もある」と触れるだけにとどまっていたところ、これが「説明すべき」という強い表現に変更され、さらに、投資先企業からの求めがあった場合の「対応方針」も公表すべきとされた(2025年2月18日付ニュース「速報 スチュワードシップ・コードの改訂内容が判明」参照)。
実質株主 : 株主名簿の背後に存在する投資判断や議決権を行使する権限を持つ株主のこと。これに対し、株主名簿に載っている株主を名義株主という。個人株主や事業会社が株主となる場合などは「実質株主=名義株主」となるが、信託銀行が信託勘定で「管理」だけをする株式は、実質株主と名義株主は一致しない。機関投資家が保有する株式は基本的に後者のケースとなる。
4-2. 機関投資家は、投資先企業との間で建設的に対話を行うために、投資先企業からの求めに応じて、自らがどの程度投資先企業の株式を保有しているかについて企業に対して説明すべきであり、投資先企業から求めがあった場合の対応方針についてあらかじめ公表すべきである。 |
この「対応方針」についてはパブリックコメントで「かかる方針を定めるにあたり、機関投資家に対して一定のガイダンスが必要」との意見があり、これに対し金融庁は、「公表することが考えられる項目」として、下記の項目を例示している(4ページのNo.15参照)。また、「策定に係る期限の想定はあるのか」との問いに対しては、「明確に定めているものはありませんが、本コードの確定日から6か月以内に改訂コードへの受入れ表明を行うこととされております」と回答している(23ページのNo.53参照)。今回改訂されたスチュワードシップ・コードの確定日が2025 年 6 月 26 日であることから、年内には「対応方針」を盛り込んだスチュワードシップ・コードの受入れ方針を公表することが期待されていると言えよう。
● 回答の基準時点 ● 回答可能な頻度 ● 回答までに要する期間 ● 照会者の真正性に関する確認方法 ● その他、照会に当たっての留意事項等 |
スチュワードシップ・コードが改訂されてからまだ2か月余りだが、当フォーラムが調査したところ、・・・
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