上場市場の機能とM&Aの“究極の”役割

フィデューシャリーアドバイザーズ代表
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員 吉村一男

上場企業の株式非公開化の流れが止まらない。株式を非公開化する場合、経営陣や投資ファンドは市場に出回る株式を買い集める必要がある。その買収資金をまかなうためにSPC(特別目的会社:買収資金を調達するために設立する会社)を設立し、金融機関から融資を受けるのが一般的だ。借金の返済は買収後の企業が将来生み出すキャッシュフローに頼らざるを得ないため、実質的に企業が多額の借金を抱えることになる。「経営の自由度を高める」という株式非公開化の狙いとは裏腹に、多額の借金を抱えながら企業価値を高めるのは容易ではないとの意見も多い。それでも株式非公開化が加速しているのはなぜだろうか。

日本では、新規上場(IPO)社数が上場廃止社数より多いが、米国では上場廃止社数がIPO社数より多い(欧州も同様)。米国市場における上場廃止の要因は、・・・

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