投資家が求める事業ポートフォリオ戦略の誤り

近年、機関投資家は上場企業に対して様々なエンゲージメントを行っているが、その一つが「事業ポートフォリオ戦略」だ。機関投資家はROIC(投下資本利益率)の高い事業への投資拡大を求める一方、ROICの低い事業については投資の縮小を提案してくることが珍しくない。特にROICが加重平均資本コスト(WACC)を下回るROICの事業については、「撤退」や「売却」を迫ることもある。ただ、事業ポートフォリオ戦略は、各事業の「成長段階」を考慮したうえで、長期的な視点で検討される必要がある。機関投資家にはこの視点が欠けていることが珍しくないので、企業は注意する必要がある。


WACC : 「Weighted Average Cost of Capital=加重平均資本コスト」の略であり、要するに「資本コスト」である。WACCは文字通り負債コスト(金利)と株主資本コスト(配当+キャピタルゲイン)を加重平均して算定される。

若干古典的ではあるが分かり易いPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)を使って説明しよう。・・・

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