概略
機関投資家が企業に持合い株式の売却を迫る一方、企業側では、株式持合いによって取引先との関係が維持・強化されるとの声は未だに小さくありません。また、研究者の間でも、持合い株式への評価は一律ではありません。そこで一橋大学商学研究科の円谷昭一先生は、持合い株式の効果が最終的に会計数値にどのように反映されるのかを「実証的」に分析し、2020年6月には「政策保有株式の実証分析」(日本経済新聞出版刊)を上梓されています。
本セミナーでは、まず「①財務資本の活用と開示」において、資本コストの考え方や資本コストの活用と開示例について説明したのち、「②『政策保有株式の実証分析』の概要」において、「持合い株式を巡る制度改正や理論的な背景を整理した上で、ある企業が持合い売却した前後で会計数値が変化しているかどうかを検証することなどを通じて株式持合いの経済的効果を明らかにします。
また、政策保有株式縮減後の株主構成のイメージについても解説していただきます。
【講師】一橋大学大学院・商学研究科 准教授、日本IR協議会・客員研究員 円谷 昭一
【講義時間】1時間25分50秒
【目次】
①財務資本の活用と開示
1 昨今の制度改正とその背景
2 資本コストとEVA
3 資本コストの活用と開示例
4 資本市場とどう向き合うか?
②『政策保有株式の実証分析』の概要
1 戦前の持株会社構造と戦後の株式放出
2 終戦後の株式安定化の必要性
3 持合いの中心となった六大企業集団
4 企業集団形成で銀行が大きな役割を果たす
5 高度経済成長の終了と持合いの変質
6 バブル崩壊と企業集団の融解
7 株式持合いに関する実証研究
8 検証方法と結果
9 時系列分析の結果
10 「持合い=低利益率」の解釈
11 持合い株式の状況
12 どのような企業がどのような銘柄を売却しているか?
13 日本製鉄の2020年3月期の株式売却の事例
14 相互保有株式が残ってきている
15 安定株主と持合い株式の関係
16 安定株主の実態調査
17 今後の論点
講義資料 | ①財務資本の活用と開示.pdf ②『政策保有株式の実証分析』の概要.pdf |
講義
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