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【議案】積立金の積み立て・取り崩しをしたい

 

積立金を積み立てる意味とは?

積立金とは、資本金や繰越利益剰余金(会社法施行前の「未処分利益」)などと同じく、純資産の「株主資本(株主に帰属する純資産)」に属する科目です(利益剰余金の中の「その他利益剰余金」において表示されます)。

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積立金の積み立ては、繰越利益剰余金を減少させ、同額だけ積立金を増加させることにより行われます(繰越利益剰余金から積立金への振替)。一方、積立金を取り崩す場合は、取り崩した積立金と同額だけ繰越利益剰余金を増加させることになります(積立金から繰越利益剰余金への振替)。上図のマーキングした部分のとおり、積立金も繰越剰余金も株主資本のカテゴリーに属する科目なので、このような金額の増減は株主資本のカテゴリー内で数字を振り替えている(これを「株主資本の計数変動」と言います)だけに過ぎず、一見何ら意味がないように思えます。

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しかし、積立金を積み立てることには、会社経営上、重要な意味があります。それは、積立金の積み立てにより、当該積立金額を社内に確保しておくことが可能になるということです。

例えば、次年度以降に「社債償還」「設備拡張」といったイベントを予定しているとします。仮に会社がそのようなイベントに向けての資金を積立金として積み立てることなく繰越利益剰余金のままにしていた場合、株主総会で剰余金の処分(会社法施行前の「利益処分」)として多額の配当が決議されてしまえば、繰越利益剰余金が配当金として社外に流出してしまう(その分だけ預金が減少する)ことになります。預金が大きく減少すれば、次年度以降のイベントをこなせなくなるかもしれません。そのような事態を回避するために、繰越利益剰余金の一部を積立金として積み立てておくことが考えられます。積立金の積み立てにより配当としての社外流出を一定程度()防ぐことができるからです。そして、将来において社債を償還したり設備を拡張したりする際に、その積立金を取り崩すことになります。もちろん、積み立てが単なる帳簿上の操作に留まり、銀行預金等で実際に積み立てをしていなければ、積立金額が確実に社内に留保されていることにはなりませんが、上述したとおり少なくとも配当による流出を一定程度()防ぐ効果はあります。

 いくら積立金を積み立てても、配当としての社外流出を完全に防ぐことはできません。なぜなら、分配可能額の算定に際して、積立金は分配可能額から除かれず、分配対象に含められるからです。仮に「繰越利益剰余金をマイナスにしてでも配当をする」ということになれば、たとえ積立金を積んでいようが配当による流出は防げないことには注意が必要です。

もっとも、繰越利益剰余金は株主資本の一部であることから、これを株主に無断で動かすことはできません。したがって、繰越剰余金から積立金を積み立てたり、あるいは積立金を取り崩したりする場合には、一定の手続きが求められます。どのような手続きが必要になるのか、以下で具体的に見ていきましょう。

積立金の種類に応じて異なる手続き

積立金には大きく分けて3つの種類があります。

まず、「税法(租税特別措置法)・定款の規定を根拠とする積立金」と「それ以外の積立金」に分けられます。さらに、「それ以外の積立金」は、特定の目的のために積み立てられる「目的積立金」と、・・・

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繰越利益剰余金の増減の意味を正しく把握

冒頭で述べたとおり、積立金は純資産の部の「株主資本」の中の「その他利益剰余金」に属する科目です。そして、積立金や繰越利益剰余金の期末残高は貸借対照表に示され、また、その増減は株主資本等変動計算書で明らかになります。ここで、株主資本等変動計算書とは、冒頭の表で示した項目ごと(資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式、評価換算差額等など)に区分して、当事業年度期首の貸借対照表の純資産の部と当事業年度末の純資産の部の間の増減を「当事業年度期首残高」「当事業年度変動額」「当事業年度末残高」に区分して説明するための計算書です。そのため当事業年度末残高は貸借対照表の残高と一致することになります。また、「当事業年度変動額」は、変動事由ごとに記載しなければなりません(下記の記載例参照)。

また、株主資本等変動計算書で表示される増減は、下表のとおり、科目によってその変動が意味するところは全く違うことから注意が必要です・・・

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