(前回より続く)
東証第一部に上場しているCGC社(3月末決算)では、社長より指名を受け、コーポレートガバナンス・コードへの対応策のたたき台を練ることを任された取締役A・B・Cの“3人組”によるミーティングが続いている(経緯についてはこちら)。
次のAからCの発言のうち、誰の発言がGOOD発言でしょうか?
取締役A:「こうしてコーポレートガバナンス・コードを一つひとつ検討していくと、わが社の場合、胸を張って完全にコンプライしているとは言い切れない“微妙なもの”が結構あるということに気付かされますね。」
取締役B:「“微妙なもの”が結構あるのは、他社でも同様だと思います。中にはまったくコンプライできていない原則があっても、コーポレート・ガバナンス報告書には『コードに記載されている諸原則を、すべてコンプライしている』と記載する企業が出てくるかもしれませんね。」
取締役C:「まったくコンプライできていない原則についてコンプライしているというのは論外ですが、“微妙なもの”をコンプライしていると判断するのか、それともコンプライできていないと判断するのかは各社に任されているはずです。 “微妙”である以上、まったくコンプライできていない訳でもないのですから、『コンプライしている』としても“嘘”にはなりません。コーポレート・ガバナンス報告書でエクスプレインをするのは極めて恥ずかしいことなので、可能な限り避けるべきです。」
取締役A:「コンプライしていると言えるかどうか微妙であることが投資家にばれないとしても、公認会計士のJ-SOX監査には耐えられないのではないでしょうか?」
取締役B:「”微妙なもの”をコンプライしていると強弁した場合、投資家との対話を重ねる中で、その“微妙なもの”があぶりだされるリスクがあります。また、万が一不祥事が発生した場合に、第三者委員会がコーポレート・ガバナンス報告書に嘘が記載されていたと評価されてしまうリスクもあります。判断に迷うような“微妙なもの”は、正直にエクスプレインすべきです。」
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