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【役員会 Good&Bad発言集】適切なリスクテイクとは何か

 売上の大部分を内需が占める東証一部上場の中堅企業XYZ社は、国内需要の減少にもかかわらず、競合他社の撤退による“残存者メリット”を享受し、当期純利益の伸びは1桁前半ではあるものの、持続的な成長を実現している。利益率は安定しているとはいえ、自己資本も潤沢であるため、ROEは6〜7%にとどまっていた。そこでA社の取締役会では、ROEを高める“攻めのリスクテイク”が話題になり、取締役が持論をぶつけ合った。

 次のA~Cの取締役の発言のうち、どの発言がGood発言でしょうか?

ROE : Return On Equity(株主資本利益率)=当期純利益÷自己資本(株主資本)

取締役A:「国内市場の低迷にもかかわらず、当社は市場シェアの拡大によってなんとか成長を実現してきましたが、さらなる成長を求めるのであれば、海外企業を買収したり、事業の多角化を図ったりするべきではないでしょうか。余剰資金をため込んでROEが低空飛行では、株主からの利益還元のプレッシャーも高まります。」

取締役B:「中期的には海外市場に打って出るといった成長戦略を実施するのはよいと思いますが、まずはROEを上げることを考えるべきではないでしょうか。議決権行使助言会社のISSはROEが5%以下の企業の経営トップである取締役の選任議案には反対を推奨すると言っていますし、バランスシートのリスクをとって負債を拡大してはどうでしょうか。」

取締役C:「ROEへの懸念も分かりますが、そもそも適正水準が一体どれくらいなのかはっきりしません。また、買収や事業の多角化の前に、もう一度既存の事業内容を精査し、メリハリを付けた経営資源の配分を行うことで、長期的な成長の青写真を示すべきではないでしょうか。」

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