消費財メーカー(3月決算)の甲社の取締役会において、次のような会話が交わされました。取締役A・B・Cの発言のうち、誰の発言がgood発言でしょうか?
販売担当取締役A:「この製品Xは、季節によって需要が変動し、春から夏にかけてよく売れます。」
社外取締役B:「それにもかかわらず、3月末にXの在庫がほとんどないのはなぜでしょうか。」
販売担当取締役A:「我が社の決算日である3月末時点で在庫を持ち過ぎてしまうと、B/Sの在庫金額が膨らんでしまいます。我が社では在庫金額の圧縮が経営課題になっており、3月末と四半期末は在庫を抑えなければなりません。製品Xも例外ではありません。」
社外取締役B:「3月末は製造委託先でもXの在庫を持たないようにしているのですか?」
製造担当取締役C:「はい、製造委託先にもXの在庫はありません。ちなみに、我が社がXの製造を委託しているのはグループ外の乙社です。乙社には、Xだけでなく、ロットの小さいYやZなどの多数の製品の製造を委託しています。乙社は保管スペースが十分ではないので、乙社が製造したものはその日のうちに我が社の倉庫に搬入されます。期末日の在庫を圧縮するため、乙社には4月になってから製造を始めるよう指示しています。」
社外取締役B:「しかし、それでは春から夏にかけての需要拡大に応えきれず、欠品が生じるリスクがあるのではないでしょうか。」
販売担当取締役A:「確かに、以前、Xを欠品させてしまったことが何度かあります。しかし、3月末の在庫を圧縮させる方が重要ではないでしょうか?」
社外取締役B:「在庫圧縮は期末日の一時点だけ考慮すればよいというものではなく、日々の問題ととらえるべきです。また、小売店の棚割りを維持するため、欠品だけは避けなければなりません。期末の一時点だけ在庫を圧縮させることに懸命になり、いざという時に欠品させてしまうようでは、安定供給というメーカーの責任を全うできていないと言われても致し方ありませんね。」
製造担当取締役C:「もちろん欠品しないように、生産計画を何度も変更して状況の変化に臨機応変に対応できるようにしています。乙社との間では我が社が毎月末までに翌月分を発注する契約になっているのですが、今月に入ってから既に5回も月次生産計画を変更しており、その都度乙社には柔軟に対応してもらっています。乙社は3月までの工場稼働率が芳しくなく、工員に自宅待機をしてもらうほどであったと聞いておりますが、4月以降は我が社の注文のおかげで工場もフル稼働となり、残業や休日出勤で対応してもらっています。」
以上の取締役A~Cの発言のうち、誰の発言がGOOD発言でしょうか?
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。