大型機械装置の受注生産・販売を営む上場企業X社(3月決算)の取締役会で、中期経営計画を承認するための議論が行われています。社外取締役が投げかけた「中期経営計画では『売上の平準化』という言葉が繰り返し使われているが、これは何を意図しているのか」との質問をきっかけに、取締役間で次のようなやり取りが行われました。
取締役A・B・Cの発言のうち、誰の発言がGOOD発言でしょうか?
取締役A:「当社が売っているのは、ご承知のように1台当たりの価格が数十億円の大型機械装置です。これが3月に売れるか4月に売れるかで、年度の損益が大きく変動します。また、6月に売れるか7月に売れるかで、四半期の損益が大きく変動します。損益が大きく変動すると、当社の業績に対する投資家の信頼を裏切ることになりかねません。安定的な売上の確保は投資家の期待に沿う経営目標です。」
社外取締役B:「しかし、中期経営計画であまりに『売上の平準化』を強調すると、『売上の平準化』が目的化してしまい、粉飾を招く恐れがあるのではないでしょうか。」
取締役C:「粉飾のリスクは内部統制を充実させることで防げばよい話です。『売上の平準化』を経営目標に据えるのは、何も投資家のためだけではありません。当社では、売上が予算を下回ると、役員や従業員の賞与の額も売上高の減少に連動して少なくなるので、『売上の平準化』は安定的な賞与の実現のためにも必要です。」
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