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【役員会 Good&Bad発言集】グローバルレベルで強化される外国公務員贈賄罪のリスク

東証一部に上場する精密機器メーカーA社では、米国および中南米の国立病院への医療機器の納入を推進しています。こうした中、A社の米国駐在員事務所から「現地コンサルタントに国立病院関係者との折衝や専門的なコンサルティングを委託するため20万ドルを支払いたい。ついては半額の10万ドルを前払いとし、成約すれば成功報酬として残りの10万ドルを支払いたいのでご承認いただきたい」との稟議書が上がってきました。すべての案件が成約すると受注額の総額が1000万ドルを超える大型プロジェクトです。

日本の本社では、米国駐在員事務所を所管する米国事業本部担当取締役A、医療機器事業担当取締役B、経理担当取締役Cがこの稟議書の扱いについて協議しています。

取締役A・B・Cの発言のうち、誰の発言がgood発言でしょうか?

米国事業本部担当取締役A:「プロジェクトを成功させるために、是非このコンサルタントと契約したい。現地では初めて利用する個人のコンサルタントとのことですが、彼について調査を行った米国駐在員事務所からは、コンサルタントとしての実績も豊富で信用のおける人物であるとの報告を受けています。前払いする10万ドルは当面のコンサルティングの必要経費とのことです。」

医療機器事業担当取締役B:「総額1000万ドルの案件で20万ドルのコンサルタント料ということはフィーは2%相当ですから、悪くない条件です。今回は国立病院との商談になるので、コンサルタントをかませることによって贈賄リスクを回避することもできます。稟議書にコンサルタント契約も添付されていますし、承認してもよいのでは?」

経理担当取締役C:「でも、契約書を見る限り、コンサルタントには病院関係者との折衝など業務を丸投げするようですね。信用できるコンサルタントとのことですが、仮に当社が支払うコンサルタント料を原資としてコンサルタントから病院関係者に賄賂が渡ってしまった場合でも、当社は贈賄の当事者ではないと言い切ることができるのでしょうか。念のため、契約書の内容やプロジェクトの推進にあたっての留意点などを法務部門や現地の弁護士事務所に確認してから判断するべきだと思います。」

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