東証一部に上場している製造業のA社では、定例の取締役会で経理担当役員が「監査法人から長期間動きのない建設仮勘定につき減損損失の判定をするよう求められた」と報告したところ、取締役A・B・Cが下記の発言をしました。誰の発言がgood発言でしょうか?
取締役兼甲工場長A:「問題となっている建設仮勘定は、もともとは営業が持ってきた新製品プロジェクト案件に対応して、甲工場で製造ラインを追加しようとした際の機械購入・設置に関する代金です。工場が主導して設置を決めた設備ではないので、営業が廃棄稟議を起案するのが筋ではないでしょうか。」
営業担当取締役B:「営業担当者に本件を問い合わせたところ、この新製品の話は完全に消えたわけではないとのことです。プロジェクト再開時に機械を再度購入し設置するのは無駄な支出になってしまいます。私は、プロジェクトが再開する可能性がまったくないとは言い切れない以上、減損は時期尚早と考えます。」
社外取締役C:「減損損失の計上と現物の廃棄は別物です。また、わが社の職務権限規程では、設備の取得申請をした部署が減損計上の稟議を起案するよう定められていますが、それでは減損計上が先送りされるリスクが高いのであれば、経理部が減損損失計上の稟議を上げ、設備の取得申請をした部署の決裁を不要とするよう職務権限規程を改訂するのも一案です。」
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