東証一部に上場するメーカーの甲社(3月決算の監査役会設置会社)は、コーポレートガバナンス・コード補充原則4-10①を踏まえ、任意の指名・報酬委員会を設置しています。
60年を超える伝統を誇る甲社ですが、その裏返しとして何事についても意思決定が若干遅い面があり、役員報酬の見直しも進んでいません。こうした中、2017年株主総会後に開催された同社の指名・報酬委員会では、役員報酬改革がテーマとなっています。
取締役A「6月の総会では同業の乙社を含めかなりの数の会社が役員報酬を見直しています。株主の目もありますし、来年の総会ではウチもやらないわけにはいかないでしょう。」
取締役B「株主の納得感が得られやすいという点では、株式報酬がベストでしょうね。」
社外取締役C「株式報酬の導入は検討に値すると思います。」
株式報酬が話題に上ったところで、取締役A・B・Cが下記の発言をしました。誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「株式報酬には色々種類があるようですし、種類によって課税関係も違うようです。株式報酬を導入すればトータルの支給額も増える可能性があるので、会社の負担を考えると、できるだけ損金になるものを選ぶ必要がありますね。損金になればROEにも好影響を与えるので、株主の納得感も高いはずです。」
損金 : 法人税計算の基礎となる法人所得を減らす性質の支出等のこと。損金は企業会計上の費用とおおむね一致するが、役員賞与や固定資産の減損損失など「損金には該当しない費用」もある。
取締役B:「株式報酬を「退職金」として導入すると、会社・役員個人の双方の税負担が軽くなるようです。ただ、この6月の株主総会では、退職慰労金の贈呈議案が否決された事例も出ていますし、インセンティブ性という観点からも、「退職金」では株主の理解を得られないかもしれませんね。」
社外取締役C:「一種類の株式報酬にこだわる必要はないのではないでしょうか。異なる要素を持った報酬の組み合わせを検討してもよいと思います。」
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