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【役員会 Good&Bad発言集】企業買収時の判断(のれん)

東証一部に上場しているサービス業のX社では、好調な業績を背景に預金残高がかつてない水準に積み上がっており、株主から「有望な投資先がないのであれば株主に還元すべき」との声が上がっています。そのような中、X社の連結グループとは事業領域を異にするものの利益を安定的に計上しているS社(非上場)の買収話が持ち上がりました。

X社の取締役会では、S社の事業計画や株価算定書などをもとに、S社を買収するかどうかを議論している最中です。買収価額として提示されている金額でS社を買収すると多額の“のれん”が発生することになるため、X社の取締役会では議論が長引いています。S社買収を巡り役員A・B・Cが下記の発言をしました。誰の発言がGood発言でしょうか?

監査役A:「皆さんはこの株価算定書を“正”としてS社買収の可否を議論していますが、株価算定書が株価の算定にあたり前提にしている事業計画、割引率などについても議論の対象にすべきではないでしょうか。」

取締役B:「我々は企業評価のプロではないからこそ、プロの第三者機関に株価を算定してもらい、買収の是非を判断しているのです。プロが算定した株価の妥当性について、素人の我々が検証する必要はないでしょう。」

取締役C:「わが社の貸借対照表にこれだけ高額の『のれん』が計上されると、株主への説明に苦慮することになるのは目に見えています。これを機に、わが社が採用する会計基準をIFRSに変更してはどうでしょうか。IFRSを採用すればのれんを償却しなくて済むので、株主に対するのれんについての説明責任を回避できるからです。」

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