東証一部に上場している製造業のZ社では、製造・販売する機械の対象となる業界ごとに3つのセグメントに区分し、その3つに区分されない売上をまとめて「その他」のセグメントとして開示しています。
Z社の取締役会では、経理担当取締役によりセグメントごとの業績が報告されている最中です。先日の株主総会で初めて選任された社外取締役Aが、「その他」のセグメントに含まれている和食店Yの売上に関連して「製造業のわが社がシナジーのない和食店を経営しているのはなぜでしょうか。そもそも利益が出ていないようですが、撤退するかどうかの検討が必要なのではないでしょうか?」と発言したところ、社内取締役Bが「もともとは会長が『日本の伝統文化の振興』を目的として開店したもので、取引先の接待でも利用しています。不景気が続いたこともあり価格帯の高い和食店には客が入らず、苦戦しています。開店以来20年間黒字になった年はありません。店舗が老朽化したことも客が入らない一因なので、近日中に店舗の改装をする予定です。」と回答しました。その後、和食店の経営を巡り、役員A・B・Cが下記の発言をしました。誰の発言がGood発言でしょうか?
社外取締役A:「開店以来黒字になったことがない店舗であるにもかかわらず改装を予定しているとは、いささか驚きました。このような状況が投資家の知るところになると、説明に困るのではないでしょうか。そもそも、製造業を営むわが社が『日本の伝統文化の振興』に取り組む必要はあるのでしょうか?」
社内取締役B:「当社では、和食店事業をセグメント情報の『その他』に含めており、その損益について有価証券報告書や事業報告・決算短信などで個別開示をしていません。これは和食店事業の損益の金額的重要性が低い以上やむを得ないことです。そもそも投資家に和食店事業の損益を説明していない以上、赤字であることにそれほど神経質になる必要はないかと思います。」
社外取締役C:「これを機に今年度から和食店事業を独立したセグメントとして開示してはどうでしょうか。」
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