東証一部に上場しているIT業のA社では、数年前の自社開発アプリの大ヒットや事業譲渡により多額の資金を得たおかげで、銀行口座には運転式をはるかに超える水準の預金が眠ったままとなっています。取締役会で配られた月次決算書を目にした社外取締役が「前から気になってはいたのだが、預金残高の水準が多いのではないか」と口にしたことから、あるべき預金残高の水準を巡り、役員A・B・Cが下記の発言をしました。誰の発言がGood発言でしょうか?
財務担当取締役A:「わが社は今でこそ資金繰りを気にする必要はなくなりましたが、上場する前は資金繰りに窮して日次の資金繰り表で資金残高を管理していたこともあります。あの頃のような自転車操業的な資金繰りに戻りたいとは思いません。預金残高の水準と倒産可能性は反比例の関係にあるので、預金残高は多ければ多い方が良いに決まっています。」
専務取締役B:「わが社が金融機関から絶大な信用を得られているのも、この預金残高の高さにあるのではないだろうか。預金残高を減らしてしまうと、金融機関からの信頼が失われてしまう。」
社外取締役C:「資金を預金口座に入れたままではROEやROAを向上させることができません。まずは預金残高としてどの程度の額が適切かどうかの基準を作り、余剰資金は従業員への還元、既存の事業のテコ入れ、新規の事業投資に振り分け、それでもなお余剰があれば、配当や自己株式の取得で株主に返還すべきです。」
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