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【役員会 Good&Bad発言集】相談役・顧問制度の是非

上場会社である甲社には、取締役会長、取締役社長および取締役副社長が取締役を退任した場合に「相談役」として処遇し、会長・社長・副社長・社外取締役以外の取締役が退任した場合に「顧問」として処遇する、いわゆる相談役・顧問制度があります。

その甲社の取締役会で、一人の取締役が「最近の世の中のコーポレート・ガバナンス改革議論では、相談役・顧問制度が“悪”であるかのような言われ方をされているが、当社の相談役・顧問制度はどうなのだろうか」との問題提起をしたことがきっかけとなり、同社の相談役・顧問制度の今後の扱いについて現取締役3人による議論が始まりました。
取締役A・B・Cの発言のうち、誰の発言がgood発言でしょうか?

取締役A:「大変申し上げにくいのですが、前社長(現相談役)から後継者に指名された現社長は前社長の言いなりであり、当社の経営は実質的には相談役である前社長の“院政”になっているのではないでしょうか?また、取締役会の前には他の相談役に対しても議案について根回しするのが慣例になっていますが、現社長を頂点に現役取締役が経営の意思決定をするのが本来の姿ではないでしょうか。今のところ他の相談役は前社長を尊重していますが、各相談役がそれぞれ自分の意見を主張し始めれば、経営は必ず混乱します。したがって、こうした取締役会前における(相談役への)議案の根回しももう止めるべきです。」

取締役B:「A君、滅多なことは言わない方が身のためだぞ。取締役経験者を相談役として処遇することは必ずしも悪いことではない。長年にわたる当社経営の知見や経験を会社や我々後輩が吸収しないのは非常にもったいない。確かに現役の経営者ではないから、会社の業容説明に定期的に時間をとられるのはやっかいではある。特に取締役候補や役付の選定など人事案件については、取締役会前に根回しておかないと後でうるさいが。近い将来、自分も相談役として処遇されるだろうが、もちろん自分が相談役になった際には、現役の諸君がやろうとしていることに口を挟むようなことは自重するつもりだ。」

取締役C:「前社長以外の他の取締役経験者を“名誉職”として処遇してしまっていることも問題です。これまでの功労に報いるという意味では、現役時代の報酬や退任時の慰労金で十分でしょう。そもそも相談役や顧問の役割も不透明ですし、ほとんどの方はたいした活動実績もないのに、全員に対し一律に相当な額の報酬が支払われています。この際、顧問はすべて廃止し、Bさんには大変申し訳ないですが、相談役については社長経験者だけが就くようにしてはどうでしょうか。そして、制度として残すのであれば、「相談役処遇規則」を制定して、その役割や処遇内容を“見える化”しておくべきです。来年以降のコーポレート・ガバナンス報告書からは、退任した代表取締役が相談役に就任する場合、業務内容や常勤・非常勤の別、報酬の額などを記載しなければならなくなりますし。」

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