東証一部に上場している製造業のA社の経理部では、生産管理システム、原価計算システム、固定資産台帳システム、経理システム等さまざまなシステムを用いて業務を行っています。それらのシステムにはA社が独自に開発したものもあればASPサービスを利用しているものもあり、システム間の連携が十分に図られているとはいえない状況です。その結果、担当者が必要に応じて手動でデータを入力し直すルーチンワークを強いられている業務も少なくありません。また、経営管理用のデータの多くは、担当者がシステムから出力した帳票の数字をデータベースソフトや表計算ソフトに手動で転記、加工のうえ算定しており、手間がかかるものとなっています。そのような中、経理部では退職者が相次いだにもかかわらず人員が補充されず、部員一人当たりの負荷が増したため、経理部員が行っていたルーチンの作業についてRPA(Robotic Process Automation)を導入して負荷を緩和させる案の是非につき検討を行っているところです。
A社の定例の取締役会において、経理担当取締役が自身の業務執行状況に関して、経理部門におけるRPAの導入プロジェクトの準備状況につき報告したところ、これに対して取締役A・B・Cが下記の発言をしました。誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「ロボットがオフィスにいると職場の雰囲気に悪影響を与えかねませんし、ロボットが仕事をしているのを目にした従業員の仕事に対するモチベーションが低下するおそれがあるのではないでしょうか。」
取締役B:「システムをいじる前に、まずは業務プロセスの再構築に力を入れるべきです。AIを導入するのは時期尚早と考えます。」
取締役C:「RPAの導入・運用コストは決して安くはないですし、元を取るためにはある程度のスケールメリットが必要になると聞いています。経理部門の一部の担当者の業務が置き換わるだけでは費用対効果に欠けるのではないでしょうか。営業部門や人事総務部門など他部門のルーチン業務にもRPAを導入することを視野に入れるべきではないでしょうか。」
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。