東証一部上場企業の製造業M社では、既存製品の売上の落ち込みが大きいことから、新製品の開発が至上命題になっており、社内の若手技術者が中心となり複数の製品案を検討中です。取締役会開催前に、経営陣向けに開発チームの技術者による新製品の開発の現況の報告が行われました。報告が終了し執行役員等が退席し、取締役と監査役だけが残りそのまま取締役会に移行しました。議事が一段落したところで、開発中の新製品に話題が及びました。社外取締役が「正直な感想を述べさせてもらいますと、新製品は従来の製品の延長線上にあり、新規性に乏しいように思えました。社内に専任のデザイナーはいないと聞いております。外部のデザイナーを交えて、より根本的なところから再検討されてはいかがですか。」と問いかけたところ、取締役A・B・Cは次の発言をしました。誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「わが社は“ものづくり”に自信を持っています。品質がよければ売上も自然に伸びてきます。デザインの力に頼るようでは“ものづくり”の本質を見失う恐れがあります。」
取締役B:「デザインも“ものづくり”の一部です。イノベーションを起こすためにも、わが社として今後どのようなビジネスに取り組んでいくのかという構想の段階から外部のデザイナーを交えて再検討すべきです。また、その構想を確実に推進していくためにボードメンバーのうちどなたかがデザイン責任者になり、適時に取締役会にフィードバックしていただきたいと考えています。」
取締役C:「そもそも、取締役会は経営マターを決める場であり、個々の製品のデザインを決める場ではないのではないでしょうか。」
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