IT業のA社では、数年前に新規事業を次々に打ち出したはいいものの、リスクの見極めが十分でないまま見切り発車でスタートした事業もあり、最近になって様々なリスクを抱えている新規事業も少なくないことが社内で指摘されるようになりました。A社の取締役会で、新規事業のリスク管理が話題となったところ、社外取締役から「取締役会で新規事業のリスクについて議論したい」という提案がなされ、これに対し他の取締役A・B・Cが次の発言をしました。3人の発言のうち、誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「有価証券報告書の記載内容が改正され、改正後は僅かなリスクであっても開示しなければならなくなると聞きました。改正前に、取締役会でリスクについて議論をしておくのはいいことだと思います。」
取締役B:「取締役会は経営の観点から本当に重要なものに絞って議論を行う場所です。新規事業は売上がほとんど立っていないので、当社にとっての重要性は低いと言わざるを得ません。取締役会では新規事業よりも当社の売上の大半を占める中核事業のリスクについて議論すべきです。もちろん新規事業のリスクを検討しなくても構わないと申しているわけではありません。新規事業のリスクは執行役員や現場の担当者で構成されるリスク管理委員会で検討するよう指示を出しておきますので、ご安心ください。」
取締役C:「今までリスク管理委員会での議論の結果が取締役会で報告されたことはありません。次回は必ず報告してください。それと、報告を受けるだけでは不十分です。その報告を受けて、取締役会でも議論を重ねて何が重要なリスクかを見極め、それに対してどのような対策をすべきなのかを検討すべきです。」
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。