サービス業のY社で開催中の定例の取締役会では、去年買収したばかりの会社の貸借対照表と損益計算書が出席者に配られ、子会社の行う事業を担当する取締役から子会社の事業の概況の説明が行われているところです。たまたま経理担当取締役が不在であったことから、経理担当取締役の助け舟がない中で、子会社の損益計算書の表示に関し他の取締役A・B・Cが次の発言をしました。3人の発言のうち、誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「損益計算書で販売費及び一般管理費の貸倒引当金繰入額の金額がマイナスで表示されていますね。『費用のマイナス』ということは結局『収益』を意味しているのですから、販売費及び一般管理費にマイナスで表示するのではなく、営業外収益に記載すべきではないでしょうか。子会社の経理部の人材は当社ほど充実していないからこういうミスも起きるのでしょうね。親会社から経理の人材を出向させた方が良いのではないでしょうか。」
取締役B:「営業外収益にも貸倒引当金戻入益がありますね。これと販売費及び一般管理費に記載されているマイナスの貸倒引当金繰入額とを合算した額を営業外収益に表示すればよかったというわけですかね。その修正をすると営業利益が減ってしまいますね。」
取締役C:「以前にわが社の損益計算書でも販売費及び一般管理費の貸倒引当金繰入額がマイナス表示になっていたことがあります。また、貸倒引当金戻入益が販売費及び一般管理費(のマイナス)とは別に営業外収益でも計上されているということは、同じ貸倒引当金戻入益であっても、性質が異なっている可能性があります。性質が異なっているのであれば取締役Bのおっしゃる『合算』はすべきではないと考えます。」
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