東証一部上場企業のA社は業界のリーディングカンパニーであり本業が好調のため潤沢なフリーキャッシュフローに恵まれていますが、外注先の企業に対しては以前から手形により代金を支払っています。A社の取締役会において手形支払いに関して次の4人が発言を行いました。誰の発言がGood発言でしょうか?
社外取締役A:「当社は業界のリーディングカンパニーであり、サプライチェーン全体の資金繰りコストを圧縮するために、当社が率先して外注先への手形支払いをやめてはいかがでしょうか。」
取締役B:「サプライチェーン全体の資金繰りコストの圧縮と言えば聞こえはいいのですが、要はどの会社が負担するかというだけであり、下請先が負担せずに済んだ資金繰りコストを当社が負担するのであれば、サプライチェーン全体の資金繰りコストの総和に変わりはないはずなので、手形払いをやめたところでサプライチェーン全体の資金繰りコストの圧縮は実現できないと考えます。」
取締役C:「『紙』の手形を電子記録債権に変更すれば手形に貼付する印紙税が不要となる点は評価できますが、電子記録債権を受け取る際に受取人が交付する領収書には印紙税を貼付しなければならないので、その点は『紙』の手形と変わらないですね。」
取締役D:「手形の支払いサイトと同一サイトの現金振込に変えたら、困るのは下請側ではないでしょうか。手形であれば割引に回せるので、下請側も信用力の高い当社の手形を有難がっていると思います。」
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