東証上場会社のA社では、過去の性加害が報道された芸能会社との取引(同事務所に所属するタレントを広告に起用)があることから、取締役会で今後の取引継続の是非について「ビジネスと人権」への対応の観点から検討を行っているところです。これに関してA・B・C・Dの4人が別々に次の発言を行いました。誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「企業の目的は営利の追求であり、人権保護ではありません。まして、広告に起用しているタレント本人が性加害をしたわけではないので、タレントに罪はありません。よって、起用を継続すべきです。」
取締役B:「『ビジネスと人権』は大企業のように余力のある企業が取り組む話であり、当社のように上場しているとはいえ規模の小さい会社では取り組みが後回しになってもやむを得ないと考えます。そもそも当社では人権方針を策定していないので、まずは人権方針を策定してから、広告への起用の是非を考えるべきではないでしょうか。」
取締役C:「そもそも人権侵害を行ったのは当社ではないのに、なぜ当社が『ビジネスと人権』について議論しなければいけないのでしょうか。このタレントは当社商品の広告に長年起用してきたことから、もはや商品イメージの重要な一部になっています。とりあえず『同事務所の新体制・具体策を注視する』とリリースして時間を稼ぎましょう。どうせ消費者はすぐに忘れますよ。」
取締役D:「この噂は20年以上前から耳にしてはいましたが、『タレントのような特殊な世界ではそういうこともあるのかな』くらいの認識であり、恥ずかしながらその噂を「人権問題」に結び付けて考える発想に欠けていました。今更ながらではありますが、事の重大さを認識した以上、広告への起用はいますぐ停止すべきです。また、人権侵害に関する同様の見落としが他にもないか、外部講師を呼んで研修を実施すべきです。」
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