上場会社A社(東証プライム市場に上場)では、2023年中にコーポレート・ガバナンス報告書(CG報告書)に【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】の開示ができていなかったため、2024年1月15日に東証が開示した『「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表』に社名が掲載されなかったところ、株主から「対応が遅いのではないか」という叱りの声が寄せられた。そこで、急遽開催された臨時取締役会で、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する今後の取組みやCG報告書における記載の仕方について議論が行われ、次の3人が下記の発言を行いました。誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「株主資本コストは投資家の需要と供給により結果として決まるものであり、経営陣としてはまったくコントロールしようがないですよね。」
取締役B:「そうですね。ただ、来月も開示企業一覧表に当社の社名がないと、株価への意識が足りない企業のように見られて、投資対象から外され、今よりも株価が下がる可能性があります。とりあえず『ROEの現状分析』を記載したうえで『実施中の取組み、あるいは実施しようとしている取組み』を羅列すれば良いのではないでしょうか。」
取締役C:「開示にあたっては、取組みの羅列ではなく、各取組みが目標達成に向けてどのような効果を持つのかを意識するようにした方が良いのではないでしょうか。CG報告書ではいったん【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)】の開示をしておき、稼いだ時間を使って議論を深めたいですね。」
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