東証一部上場企業のA社では、寡占市場を事業ドメイン(事業領域)として安定的に成長してきましたが、最近では国内市場の成長率が鈍化したため、海外市場への進出についても検討を開始し始めたところです。そのような折に、たまたま証券会社から海外M&Aの案件が持ち込まれました。売主の希望もあり、早急に買収するかどうかの判断を行わないといけないことになりました。取り急ぎ、専門家を使ってDD(デューデリジェンス:詳細調査)およびバリュエーション(企業価値算定)を実施し、レポートがそろったところで、急遽臨時取締役会を開催して、買収の承認を得ることとなりました。「急に買収決議を求められても判断がつきかねます。」との社外取締役の発言に対して、取締役A(本案件の責任者)・B・Cが下記の発言をしました。誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「いろいろとご心配されているようですが、買収プロセスやバリュエーションについてはプロの証券会社などに一任しているので問題はないかと思います。また、リスクについてもプロの法律事務所や会計事務所などがしっかりとDD(デューデリジェンス)をしてくれています。依頼したのはいずれも高名な事務所ばかりであり、心配には及びません。」
取締役B:「どのようなストーリーのもとに海外M&Aの案件が位置付けられるか、じっくりと議論してから進めてはいかがでしょうか。」
取締役C:「せっかく海外M&Aで『時間』を買おうとしているのに、M&Aの判断に時間がかかってしまっては意味がありません。『時は金なり』と言うではありませんか。グローバル市場を相手に、そのような悠長な議論をしていてはバスに乗り遅れてしまいます。今できることから考えるべきです。」
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