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【ディスクロージャー】役員の異動があった

 

役員の辞任や解任は投資判断要素の1つ

役員の人事は定時株主総会に合わせて行われるのが通常ですが、体調不良や他の役員との意見対立等により、役員が任期途中に辞任の申し出をする場合があります(役員の辞任についてはケーススタディ「役員から任期途中での辞任の申し出があった」の「任期の途中で辞任することは可能?」を参照)。また、業績不振や不祥事の責任をとらせる形で、役員を解任するケースもあるでしょう(役員の解任についてはケーススタディ「役員を解任したい」の「説明できますか?「退任」「辞任」「解任」の違い」を参照)。

このような役員の辞任や解任、また、任期満了による退任など、役員に「異動」があった場合、投資家はその情報をすぐにでも欲しいはずです。なぜなら、アップル社にとってのスティーブ・ジョブズ氏がそうであったように、世の中には、その能力やカリスマ性から、会社のブランド力や業績に大きな影響を与える経営者が少なくなく、役員の異動は投資者の投資判断に影響を与える可能性があるからです。

そこで、証券取引所では、取締役会で「代表取締役または代表執行役の異動」の決議があった場合には、直ちに開示することを求めています(有価証券上場規程402条)。なお、最高経営責任者(社長等)が異動する場合には、代表取締役等の異動に該当しないとき(たとえば従来から代表取締役2人体制であったところ、代表取締役間で社長の座をバトンタッチしたとき)でも、開示することが望まれます。開示の内容としては、「代表取締役および役員の異動に関するお知らせ」等の題名で、異動の内容(氏名、新役職名、現役職名)、理由、新代表取締役の略歴、就任予定日などが記載されるケースが多いようです。なかでも「解任」の場合は市場の混乱を招く可能性もありますので、その理由を明確に記載することが重要です。代表権だけを取り上げる場合(取締役の地位はそのまま)も開示が必要になります。

では、代表権がない役員の異動の場合でもこうした適時開示は必要でしょうか?上記の東証の有価証券上場規程では代表権がない役員の異動についての適時開示は求められていませんが、実際にはいわゆる平取締役や社外取締役、監査役の異動も含め、積極的に開示している会社が多くなっています。このような積極的な開示姿勢は、投資者から見ても好ましいものと言えるでしょう。特に「社外取締役」が期中で急に辞任したにもかかわらずその理由を開示しなかった場合、様々な疑心暗鬼(「経営方針を巡って取締役間で深刻な意見対立があったのではないか」「粉飾決算などの何らかの不正が発覚し、調査方針を巡り対立が起きたのではないか」など)を呼び、株価が下落するなど会社に重要な影響を及ぼす場合もあります。辞任の理由を積極的に開示することで、投資家に余計な心配をかけずに済むということもあるのです。

このほかの開示書類としては、臨時報告書、四半期報告書、有価証券報告書、事業報告、さらにコーポレート・ガバナンス報告書がありますが、役員の異動があった場合、これらの書類への記載はどうすればいいのか、以下で整理しておきましょう。

なお、役員が職を辞す場合の表現としては「退任」「辞任」「解任」がありますが、いずれも「役員の異動」であることには変わりないため、開示のルールはほぼ同じです。したがって、以下では、特に断りがない場合は、「退任」「辞任」「解任」のすべてを包含する「役員の異動」の際の開示のルールを解説しているものとします。

さまざまな書類に影響する「役員の異動」

(臨時報告書)
異動する役員が「代表取締役」である場合には、上述した適時開示に加え、臨時報告書の提出が必要となります(金融商品取引法24条の5第4項)。ただし、定時の株主総会終了後有価証券報告書提出時までに・・・

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期中で辞めた役員の報酬は開示すべきか

解任や辞任等により期中で辞めた役員には、辞める時までは役員報酬が支払われますし、役員退職慰労金が支給される場合もあります。退職慰労金を含む役員報酬(損益計算書に計上された役員報酬)は有価証券報告書により開示の対象となっており(社外役員や監査役の報酬を含む)、たとえある役員が期末に在籍していなくても、期中に支払われた報酬等はその開示金額に・・・

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