日本企業の株主の主役は「安定株主」から「機関投資家」に
近年、日本企業の株主構成は大きく変化しています。下表1に示したとおり、上場企業の株式保有比率の長期的な推移を見ると、金融機関(都銀・地銀等および生損保)や事業法人等の比率が大きく低下する一方で、外国法人等の比率が大きく上昇していることが分かります。2013年度には、外国法人等の比率(30.8%)が金融機関および事業法人等の合計比率(30.0%)を上回りました。
金融機関や事業法人を中心とする「安定株主」の減少と外国人を中心とする機関投資家の増加が進んだ結果、日本企業の株主の“主役”は、安定株主から機関投資家に移ったと考えてよいでしょう。
表1 投資部門別株式保有比率の推移(出典:東京証券取引所等)
20年前(1993年度) | 10年前(2003年度) | 近年(2013年度) | |
金融機関※ | 31.2% | 14.0% | 8.7% |
事業法人等 | 28.3% | 21.8% | 21.3% |
外国法人等 | 7.7% | 21.8% | 30.8% |
※ 都銀・地銀等および生損保の合計
上場企業の経営者にとって、株主と良好な関係を保つことが重要な経営課題であるという点は株主構成が変わっても不変です。ただ、安定株主は単に株式を保有しているだけでなく、例えば融資先や取引先であるなど自社と何らかの関係を有するケースが多く、自社について一定の知識を持っているのが通常であるのに対し、機関投資家とは純粋に株主としての関係しかありません。そこで、機関投資家に自社の株主であり続けてもらう、あるいは新たに株式を購入してもらうためには、経営者自身が自社の魅力を能動的に伝えていく必要があります。
しかし実際には、会社説明会等で経営者が自社の歴史や取組みについて一生懸命説明しているのに機関投資家の反応が芳しくない、あるいは機関投資家との質疑応答がかみ合わない、といったケースは珍しくありません。
では、経営者は機関投資家に対し、どのようにして自社の魅力を伝えればよいのでしょうか。以下で解説します。
機関投資家最大の関心事「企業価値」とは?
ひと口に「機関投資家」と言っても、企業の成長を重視する(グロース投資)タイプ、株価の割安性を重視する(バリュー投資)タイプなど様々ですが、一部のヘッジ・ファンドのように株価の上下動に反応して短期売買を繰り返すタイプの投資家に自社の魅力を伝える術を考えても意味はありません。経営陣が自社の魅力を伝える対象とすべきなのは、・・・
続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら
チェックリスト | チェックリストはこちら(会員限定) |
---|
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。
また、本ケーススタディを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を、備忘録として登録しておくことができます。登録を行う場合には、下の左側の「所感登録画面へ」ボタンを押し、登録画面に進んでください。過去に登録した内容を修正する場合も、同じ操作を行ってください。