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【総務等】コンサルティング契約を締結したい

 

その課題、自力で解決できますか?

会社は、何らかの課題を常に抱えているのが通常です。会社の規模が拡大することで自然に解決に至る課題もあれば、逆に大きくなったがゆえに浮上する課題もあります。課題を一つ解決するたびに、別の課題が浮上する様子は、まさに“イタチごっこ”です。既存事業のテコ入れ、新事業の開拓、海外進出、M&A、生産・物流改革、社内システムの一元化、アウトソーシングの拡大、人事制度の変更等、会社の生き残りを賭けて解決しなければならない課題は、極めて多岐にわたります。

このような課題を解決しようにも、次のような状況があると、自力での解決ができません。
・社内だけで考えていても答えが出ない(ノウハウ不足)
・社内のリソースだけでできるかもしれないが、確実性に欠け(不確実性)、時間がかかりすぎる(時間的制約)

変化の激しい現代では、こういったリソース不足に直面する企業は少なくありません。リソース不足の解消には、そのようなノウハウを備えた人材をヘッドハンティングしたり、ノウハウや人材を備える会社を買収したり、その分野に長けたコンサルティング会社の力を借りたりといった策が考えられます。

また、上に加えて次のような状況もあれば、リソース不足の解消策としてコンサルティング会社の利用が有効です。
・課題解決に伴うリスクを可能な限り小さくしたい(リスクマネジメント)
・外部の専門家を入れることで、課題解決に説得力を持たせたい(社内の抵抗勢力を抑えたい)

もっとも、コンサルティング会社の利用の仕方によっては、狙いどおりの効果が得られないばかりか、かえって不利益を生む可能性もあります。例えば、コンサルティング会社の提案を丸呑みするケースがその一例です。コンサルティング会社によっては、戦略立案から業務プロセスの設計、実際の導入からその後のオペレーションまでワンストップで対応可能なところもあるので、すべてをアウトソーシングすることもあるでしょう。しかし、課題解決に向けてサポートしてもらうだけでなく、最終目標の提案まで依頼して、それを社内で何ら検討せずに丸呑みするようでは、上場会社としての適格性に欠いていると言われても仕方がありません。投資家の負託に応えるためには、重要な意思決定は、いわば“通りすがり”のコンサルタントではなく、会社の理念や企業文化、事業内容を肌感覚で熟知している会社の取締役が担うべきだからです。取締役は、明確なビジョンのもと、自らの責任でゴールを設定して、そのゴールにたどり着くために必要な手段としてコンサルティング会社の利用を検討すべきです。また、取締役はコンサルティング会社との間で何を(幅)どこまで(深さ)依頼するのかを事前に合意しておき、工程表で進捗管理をしながら、部分的に納品を受け検収を行い、段階的に意思決定をすることが重要です。

また、事業内容や企業文化にマッチしないシステムや仕事の進め方、報酬制度などが導入されることで、現場が混乱し、かえって効率が悪化したり、従業員のモチベーションが低下したりするケースも耳にします。そういった事態に陥ることを防ぐために、取締役としては、コンサルティング会社の提案が、会社の風土になじむものか、こちらの意図を汲んだものであるか、現実を無視した一方的なものになっていないかの検討が求められます。

その他、コンサルティング会社に過度に依存することで、社内の人材が育たない、もしくは従業員のモチベーションが低下するといったデメリットがあることにも留意すべきです。

取締役は、そういったデメリットも考慮しながら、コンサルティング会社を利用するかどうかを判断する必要があります。

コンサルティング会社の選び方

コンサルティング会社を利用する可能性が高まった場合、次に検討するのはコンサルティングを受けることの費用対効果です。コンサルティング費用は高額になるケースが多いため、果たしてそれに見合った成果を得られるのか、原則として複数のコンサルティング会社から提案をしてもらい、相見積りを取ります。もっとも、コンサルティングはコモディティなサービスではないため、単純に価格だけで判断できません。サービスの内容や費用対効果の程度を慎重に検討する必要があります。

コモディティ : 石油や金属、小麦のような市況製品。転じて、製品・サービスの機能・品質などが均質である状態。

コンサルティング会社は、それぞれ「戦略系」「会計系」「IT系」「人事系」など得意分野を有しています。「業界特化系」「シンクタンク(総合研究所)系」といった会社も存在します。また、外資系・国内系といった違いから規模の大小まで様々です。インターネットで検索すれば各分野の主要なコンサルティング会社がすぐに見つかりますので、特に当てがなければ、まずはそこから何社かピックアップすればよいでしょう。プロジェクトの規模にもよりますが、各社から一般的な情報(サービス案内、価格等)を入手し一次選考としてふるいにかけ、二次選考で詳細な情報を与えて具体的な提案を受けるといったステップを踏むことが基本になります。

提案を受ける事前情報として、例えば以下の内容をコンサルティング会社に伝えます。・・・

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社内での諸手続から契約まで

上記の検討を行い、最終的にはコンサルティング会社を1社に絞るわけですが、社内手続としてその意思決定過程を明確に記録しておく必要があります。どのような選定プロセスを踏んで、どのような理由で誰が最終的な決裁を行ったか、その判断の過程を記録を残し、万が一判断の合理性・正当性が後日問題になった時に・・・

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プロジェクトへの取り組み方と成果の測定

高額な費用をかけてコンサルティングを依頼したうえで、「理屈はわかるが実際は無理」「絵に描いた餅」「助言どおりに実行しても、大した効果がなかった」というような結果に陥ることは避けなければなりません。そのためには、・・・

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特定の利害関係者との契約は避ける

取締役が個人で株式を所有している会社のような、自社と特別な利害関係を有するコンサルティング会社(以下、「関連当事者会社」とします)とコンサルティング契約を結ぶ場合は、いくつか注意すべき点があります。

「李下に冠を正さず」といった故事があるとおり、関連当事者会社との契約は可能な限り締結すべきではありません。関連当事者会社への評価基準が甘くなったり、取締役に遠慮して自社の要望を強く主張できなかったりして、想定した効果が満足に得られないまま、会社財産が不当に流出する可能性があるからです。また、たとえ相見積もりを取ったとしても、コンサルティングの場合、上述したとおりコモディティなサービスではないため、単純に費用だけで判断できるものではないからです。それでもなお関連当事者会社にコンサルティングを依頼する場合、利益相反取引の承認の必要性を検討すべきです。

なお、上場会社がこのような関連当事者会社と取引を行う場合には、・・・

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独立性強化のきっかけはエンロン事件

会計、経理、財務および内部統制等に関する分野では、財務諸表や内部統制の監査業務を通じて自社の状況を熟知している会計監査人にコンサルティング業務を依頼した方が何かと利便性が高いと考えるかもしれません。しかし、会計監査を行っている会計監査人があたかも経営者のように会社の業務の遂行や意思決定を行うと、結果的に自らの業務を自らが監査する(これを「自己監査」と言います)ことになり、また多額のコンサルティング報酬を受け取り、やがてその報酬に監査人自体が依存するようになると、第三者としての客観的な視点で監査意見を表明できなくなるのではないかという懸念が発生します。これは、過去より指摘されてきたいわゆる監査人の独立性に関する問題ですが、米国における2001年のエンロン事件を発端として社会的な法改正機運が高まり、・・・

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