上場会社役員ガバナンスフォーラム
1.はじめに
日本企業の生命線とも言える「知的財産」を守るための仕組みである知的財産の紛争を処理するシステム(以下、知的財産紛争処理システム)が揺れている。
知財高裁の設立から10年が経過する中、政府内では、昨年(2015年)から「知財を巡る紛争の仕組みを根本的に見直すべきではないか」という主張が聞かれるようになり、その主張を踏まえ、内閣府に設けられた知的財産戦略本部などでは、この問題について集中的な議論が行われてきた。ただ、仮にそこで展開されてきた主張が実現すれば、日本企業にとって、かえってマイナスになる可能性がある。
知財高裁: 知的財産に関する事件を専門に取り扱う東京高等裁判所の特別支部。ただし、知財高裁独自に所長や裁判官会議、事務局を設置しており、東京高裁からの独立性は高い。正式名称は「知的財産高等裁判所」。知的財産高等裁判所設置法に基づき、2005年4月1日に設立された。
本稿では、現在政府内で進む知的財紛争処理システム見直し議論の問題点と、今後の法改正の行方をレポートする。
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