ウイリス・タワーズワトソン
経営者報酬プラクティス シニアアナリスト 中村 秀隣
03-3581-6244
Hidechika.Nakamura@willistowerswatson.com
はじめに
欧米の経営者報酬関連規制は海外の機関投資家からグローバル・ディファクト・スタンダードとして捉えられており、日本の規制当局も参考にしている。これは、仮に将来日本で新たな規制が導入されるとした場合、欧米の経営者報酬関連規制が参考にされる可能性があるということを意味している。
こうしたなか欧州では、企業、機関投資家をはじめとする株主、議決権行使助言会社など、インベストメント・チェーンにおける各プレーヤーの権限や責任について定めた「株主権利指令(Shareholders’ Rights Directive:SRD)」が10年ぶり改正され、これを踏まえ、日本が手本とした英国コーポレートガバナンス・コードでは、経営者報酬分野における更なる規制の強化が見込まれている。
インベストメント・チェーン : 資金の拠出者から、資金を事業活動に使う企業に至るまでの経路および各機能(アセット・オーナー(受益者) 、アセット・マネジャー(運用会社)、企業など)のつながり。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)
本稿では、欧州における経営者報酬関連規制の最新の動向、具体的には今般の欧州におけるSRDの改正の背景や内容を概観するとともに、EU主導のSRDの改正が欧米各国企業の経営者報酬にどの程度の影響を与えるのか、また、欧米とは経営者報酬の実態が大きく異なる日本の企業に対する示唆についても併せて検討したい。
1.株主権利指令(Shareholders’ Rights Directive:SRD)改正の背景(会員限定)
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