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【特集】2018年6月総会・機関投資家の議決権行使結果分析

日本シェアホルダーサービス株式会社
シニアアナリスト 水嶋 創

1.はじめに

コーポレートガバナンス・コードの制定/改訂を含む一連のコーポレートガバナンス改革により、株主総会は「企業と株主の対話の場」としてますます注目を集めています。

一昔前であれば、株主総会の議案は可決されればそれで十分だったのかもしれません。しかし、開示府令の改正により、2010年以降、上場企業は株主総会後に賛成率(議案毎の賛否の個数など)を開示することが求められるようになり、株主からの反対が多かった議案に関する報道も増えてきています。また、昨年(2017年)にはスチュワードシップ・コードが改訂され、機関投資家による議決権行使結果の個別開示(企業毎、議案毎の開示)が始まりました。併せて、各機関投資家による議決権行使の方針や賛否の基準の公表も進み、それまで見えにくかった機関投資家の議決権行使行動が明らかになってきました。

本稿では、まず上場企業が開示した議決権行使結果から議案毎の賛成率をまとめた上で、役員選任議案にフォーカスし、各機関投資家の議決権行使結果の個別開示に基づき投資家毎の反対率を分析します。さらに、来年以降の株主総会に影響を与える可能性のある動きとして、議決権行使助言会社のポリシー変更と国内機関投資家による集団的エンゲージメントへの取り組みを紹介します。

2.議決権行使結果から見る議案別の上程数・賛成率の傾向

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