中長期的な企業価値向上に対する投資家の関心の高まりとともに、役員報酬と中長期的な企業業績の連動性が重要視されつつある(2015年5月13日のニュース「役員報酬議案、海外では株主の反対が続出」参照)。こうした中、上場企業の間で導入が増えているのが、役員報酬BIP信託だ(BIPは「Board Incentive Plan」の略)。既存のストックオプション制度や役員退職慰労金制度を廃止し、役員報酬BIP信託に移行する上場企業も多い。
欧米では、中長期の業績目標を設定し、その達成度に応じて株式を付与する役員報酬制度(株式報酬制度)を導入する企業が増えているが、株式の発行は金銭等の「払込み」があることを前提とする日本の会社法(199条1項2号から4号)の下では、「払込みがゼロ」である欧米型の株式報酬を付与することができない。そこで、これと同様の仕組みとして開発されたのが役員報酬BIP信託だ。具体的には、・・・
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