2014年3月、筑波大学発のベンチャー企業で介護ロボットスーツを開発・販売するサイバーダイン社が東証マザーズ市場に上場したが、同社の上場の際に大きな話題となったのがそのガバナンス体制だ。同社では普通株式の他に「普通株式の10倍の議決権」が付与された種類株式を発行、出資割合49.31%の同社社長が89.89%の議決権を保有する形での上場となった。
種類株式 : 普通株式とは種類の異なる株式のこと。配当を優先的に受ける一方議決権が制限される配当優先株など、株主の権利の内容を自由に設定できる。
同社の有価証券届出書における「コーポレート・ガバナンスの状況」に下記のような記述が見られた。
当社の議決権を山海嘉之及び本財団法人に集中させることにより、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保し、人の殺傷や兵器利用を目的に利用されることを防止することにあります。 |
同社の場合、「事業の公共性」が、このような特殊なガバナンス体制が容認される理由の1つになったと言えそうだが、国内産業や雇用の保護という名目で、1株あたり「2倍」の議決権を認める法律を作ってしまったのがフランス政府だ。
フランス政府が2014年に成立させ、2016年4月以降に施行されることになっている「フロランジュ法」には、「2年以上同一名義人により保有された株式に対しては2倍の議決権を強制的に付与する」という条項(2倍議決権制度)が含まれている。企業が2倍議決権制度の適用を回避するためには、株主総会において同制度に反対する議案(すなわち、「1株1議決権」の存続を求める議案)を提出し、「2/3以上」の賛成をもって可決させる必要がある。逆に言うと、それができなければ、2016年4月以降、同制度が強制的に適用されることになる。
こうした中、大手化粧品会社のロレアルや大手コンサルティング会社のキャップジェミニは、・・・
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