固定費をテコにした利益の増大効果のこと。営業レバレッジ(Operating Leverage)ともいう。
企業の「コスト構造」とは、総原価における変動費と固定費の割合を指すが、固定費の割合が大きい企業では、売上高の変動に伴い利益が大幅に変動しやすい。例えば、売上高が100、変動費が40(変動費率40%)、固定費が50の企業の利益は10(利益率10%)だが、翌期に売上高が25%伸びて125となった場合、変動費率(40%)と固定費額が変わらないとすると利益は25(125-(125×40%)-50)となり、利益成長率は150%(10→25)にも及ぶ。
変動費率 : 売上高に占める変動費の比率
利益率 : 売上高に占める利益の比率
このように、売上高が増加しても変動費率が少なくとも同率を維持し、かつ固定費も同額を維持できれば、常に「売上高成長率<利益成長率」という関係が成立するため、売上高の増加に比べ利益が大きく増加する。これが「経営レバレッジが効いている」状態である。
冒頭で「固定費をテコに」と述べたとおり、経営レバレッジの恩恵を受けるためには、総原価に占める固定費の割合が大きいことが必要になる。これは、総原価のすべてが変動費で構成されている企業を考えてみれば分かる。このような企業では変動費率は常に一定であるため、「利益率」も常に一定となる。すなわち、どんなに売上高が増加してもそれとともに変動費も増加することから、「売上高成長率<利益成長率」となることはない(常に「売上高成長率=利益成長率」となる)。経営の現場ではしばしば「固定費を変動費にしたい」という話が聞かれるが、固定費を持たなければ、経営レバレッジも享受できないのである。
経営レバレッジを享受しにくい業種としては、・・・
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