中長期的な企業価値の向上が求められる中、役員報酬も中長期的な業績に連動させるべく、役員報酬の算定方法を見直しを検討している企業が少なくないが、その場合に選択肢となり得るのが「利益連動給与」だ。
「利益連動給与」とは法人税法上の用語であり、一般的な表現に置き換えれば、インセンティブ型の役員報酬にあたる。ただし、利益連動給与には細かな要件が設けられており、これらの要件を満たすことで、はじめてその損金(≒経費)算入が認められる。要件の中には充足することが難しいものもあり、これまで企業にはあまり利用されて来なかったのが実態だ。
代表的な要件の1つとして、利益連動給与の算定は「有価証券報告書に記載される利益に関する指標」をベースに行う必要があるというものがあったが、平成28年度税制改正ではこれが見直され、「利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書記載事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標)」に変更されている(改正法人税法34条①三イ、改正法人税法施行令69条⑧)。要するに、これまでより多くの指標をベースに利益連動給与を算定できるようになったということだ。具体的には下記のようなものであり、企業の選択肢は一気に増えたことになる。・・・
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