個別企業の重要な「イベント」を投資機会ととらえる(ヘッジファンドの)投資手法のこと。
具体的には、(1)M&Aに際し、「買収企業が被買収企業に提示する買収価格」と「被買収企業の市場株価」との乖離を収益機会とする「M&Aアービトラージ戦略」、(2)事業リストラ(不採算事業からの撤退など)や財務リストラ(負債の削減など)、組織再編などの機会を利用して収益の獲得を狙う「スペシャル・シチュエーション戦略」、(3)破産状態にあり、市場で割安に放置されている企業等に投資することで収益獲得を目指す「ディストレスト(distressed=困窮した、行き詰った)証券戦略」などがある。海運大手の川崎汽船株式の大量保有で話題を呼んだエフィッシモ・キャピタル・マネージメントもこのイベントドリブン戦略をとる(2016年6月28日のニュース「川崎汽船株の大量取得、買収防衛策を廃止していなければ違う結果に?」参照)。
企業に「イベント」が生じた場合には、通常時とは異なる株価が形成されることが多いが、ヘッジファンドは通常のロングオンリー(株式の「買い持ち」だけを行う運用)と異なり、ショート(株式の空売り)を組み合わせることができるため、市場に織り込まれていない価格の歪みを取ることが可能。ここにこそ、イベント時の価格評価について一般投資家よりも知見を持つヘッジファンド・マネージャーが活躍する余地があるわけだ。ヘッジファンドは企業にとって「長期で付き合うべき株主」とは言えないが、イベント時に異常な株価が形成されることを避けるためにも、・・・
空売り : 株式の現物を持っていないにもかかわらず「株式を売却する」投資手法。具体的には、将来に値下がりする可能性が高いと判断した場合に、証券会社や大株主から借りた株式を売却することによって行う。空売りを行った者は、後日現物の株式を買って貸主に返す時点で、当初のもくろみ通り株価が値下がりしていれば、利益を得ることになる。
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