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(新用語・難解用語)パテント・トロール

「特許の怪物」と訳されるパテント・トロール(patent troll)とは、自らは研究開発や製品の製造・販売を行わない一方で、第三者から特許を買い集め、その特許権を行使(具体的には、「(特許権の)侵害差止め」と「損害賠償請求」)して、事業会社から高額な和解金等を得ることを目的とする個人や団体を指す“蔑称”である。

特許の出願件数は世界的に増加の一途を辿っている。2000年と比較すれば、現在は約2倍の水準にある。また、自国だけではなく、複数の国に出願する「国際出願」も急激な伸びを見せている。特に顕著なのは中国で、その質はさておき、2005年には3000件弱だった特許出願件数は2012年には約9700件に増えている。米国でも2005年の約2700件に対し、2012年は5000件超と約2倍近く伸びている。

特許出願件数の伸びとともに、特許等の知的財産権を巡る訴訟も増えている。これもまた、中国での伸びが著しい。これは、日本企業が訴訟に巻き込まれるリスクも高まっているということを意味している。そして、これらの訴訟の中にはパテント・トロールが引き起こしているものも少なくない。

冒頭で述べたとおり、パテント・トロールは、研究開発に投資をするようなことはせず、訴訟に勝訴して得た金銭はさらに特許を買う資金源とするだけだ。このような行為は、本来「発明の奨励と産業の発達」を促進するために生み出された特許という制度を濫用するものだが、パテント・トロールと言えども「権利者」でることには違いない。こうした中、パテント・トロールが社会問題化している米国においても様々な対策が打ち出されているものの、いずれも決定打とはなっていない。中国でも数多く生まれたパテント・トロールが今後は世界中に活動を広げていくことは確実であり、既に日本にも入り込んできているとの情報もある。

このように日本企業にはパテント・トロールの脅威が迫っているにもかかわらず、知的財産に対する経営陣の危機意識は必ずしも高いとは言えない。日本企業には従来から・・・

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