国や地方公共団体などが有する公共施設等を「民間事業者」が運営して利用料金を収受する権利のこと。平成23年に実施されたPFI法(正式名称は「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」。平成11年に創設)の改正により新たに導入された。民間事業者がサービスの内容・施設の利用料金を自らの判断で決定できることや、公共施設等の利用者から利用料金を“直接”徴収することなどが大きな特徴となっている。また、公共施設等運営権は「物権」として扱われるため、これに抵当権を設定し、金融機関や投資家から融資や投資を受けることもできる。ただし、運営等に要する費用(公共施設等運営権の対価として国・地方公共団体などに支払う費用、維持管理・運営等に要する費用など)は事業者が負担することになる。
「公共施設」というと、建設業をはじめとする一部の業種にしか関係がないイメージがあるかもしれない。しかし、公共施設等運営権は原則として既に整備されている公共施設を設定対象としており、また、民間事業者等が担う業務範囲を大きく拡大するものであるため、既存施設を生かした効率的な業務運営や新たな増収施策を策定できるような事業者であれば、建設業など特定業種に限られることなく、幅広い業種からの参入が予想されている。公共施設等運営権が設定可能な事業としては、水道施設や下水道、道路、鉄道、空港、港湾施設、熱供給施設などの典型的なインフラ系施設のほか、賃貸住宅、医療施設、社外福祉施設、駐車場、都市公園、中央卸売市場などがあり、建設業のみならず、製造業、不動産、商社、流通、施設運営といった業種の参入が想定される。企業が公共施設等運営事業に参入する動機としては、「新規事業の育成」や「本業との相乗効果」などがある。例えば、不動産業者が周辺で展開する施設運営や開発案件との相乗効果を狙って進出するケースや、機器メーカーが機器の納入を狙って進出するケースが考えられる。
上述のとおり、公共施設等運営権は平成23年のPFI法改正により創設されたものだが、これまで会計上の取扱いが明確でなかった。こうした中、・・・
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