新年度となり、新入社員を迎え入れた上場企業も多いことだろう。またこの時期、転職の挨拶メールも少なからず届く。コーポレートガバナンス・コードが「攻めのガバナンス」を促している(コーポレートガバナンス・コード原案序文 本コード(原案)の目的「7」参照)ことからも分かるように、近年の日本企業はリスクや責任を負うことを過度に恐れるあまり「チャレンジしない」体質に陥りがちだが、これを変える可能性を持つのが新入社員や転職組だ。
先日、近年業績が伸び悩んでいるある東証一部上場企業の中堅社員から、「ウチの会社では何か新しいことを提案すると、いつも失敗するリスクから話が始まる」という悩みを聞いた。挙句の果てには、担当役員から「失敗したら君が責任をとれるのか?」と問われ、それ以上話を進める気力が失せてしまったという。これは担当役員個人のキャラクターというよりも、その企業の社風、あるいは企業風土の問題と言える。すなわち、その担当役員もさらにその上から「責任を問われる」立場にあり、また、若手社員の頃から同様に上から詰められた経験があるため、チャレンジすることに腰が引けてしまっているのだろう。「言い出しっぺが損をする」「出る杭は打たれる」といった表現は言い古されたものではあるが、現実問題として、新しいことにチャレンジする際にこうした“見えない壁”が厳然と存在している上場企業は少なくない。
その結果として起こる現象が、・・・
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