新株予約権の行使価格(=株式の購入価格)を、権利行使時の株価の一定割合に修正(減額)する条項が付いた新株予約権のこと。例えば、権利行使時の株価が1,000円だとすると、新株予約権の行使価格をその90%の900円に修正するような新株予約券がこの「行使価額修正条項付新株予約権」である。行使価額修正条項付新株予約権は、その「引受人」に利益をもたらすことを約束する一方、「既存株主」は希薄化により不利益を被ることになる。
希薄化 : 「1株当たりの価値」が下がること。希薄化は発行済株式数の増加により起こる。どれくらい希薄化したかを示す「希薄化率」とは発行済株式数の増加率のことであり、「新規発行株式数 / 既発行株式数」によって計算される。既存株主からすれば、希薄化により一株当たり株主価値が低下するのみならず、議決権比率が低下し、投資先企業への影響力も薄まることになる。そこで、例えばある大手機関投資家は、株式報酬制度の導入に関する議案への賛成の条件として、「希薄化率が10%未満」であることを挙げている。発行済み株式数のみならず、今後実際の株式に転換される可能性のあるストックオプションや転換社債などまで含めた株式数をベースに計算された希薄化を「完全希薄化(Fully Diluted)」という。
新株予約権の行使価格が権利行使時の株価の90%に修正される行使価額修正条項付新株予約権を例に、既存株主がどの程度不利益を被るのかを見てみよう。・・・
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