日本語訳すれば、「ルールに従え(comply)、従わないのであればその理由を説明せよ(explain)」となる。
法令や規則は基本的には「従う」ことが前提となっているが、法令や規則に準ずるいわゆる“ソフト・ロー”で、この「Comply or Explain」という手法が取り入れられることが多い。その典型例が、最近我が国でも導入されたスチュワードシップ・コード(2014年3月20日の新用語・難解用語「スチュワードシップ・コード」参照)、導入が予定されるコーポレートガバナンス・コード(2014年5月19日「大人数の取締役会はNG?「コーポレートガバナンス・コード」制定の動き」参照)だ。両コードともイギリス版をモデルにしているように、Comply or Explainも元々はイギリスで生まれ、同国のコーポレートガバナンス推進策の基本方針となっている。
Comply or Explainでは、法令等で強制するのではなく、従う(comply)かどうかは企業の自主性に任せつつ、従わない場合には説明責任(explain)を果たしたうえで、それをどう評価するかは投資家などのステークホルダーに任せる、というスタンスをとっている。その意味では、企業に選択の自由を与える手法ではあるものの、日本版スチュワードシップ・コードが導入初年度から多くの機関投資家に受け入れられたように(2014年6月18日のニュース「日本版スチュワードシップ・コードによる議決権行使厳格化で「否決」増加も」参照)、現実には一定の“強制力”があると言えるだろう。
Comply or Explainの考え方は、日本では新しい規制の手法ではあるが、実は日本版スチュワードシップ・コード導入前にも存在している。
その1つは、・・・
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