従業員等による情報漏えい、横領などの不正は後を絶たないが、近年はこうした不正行為の多くに「電子データ」が絡んでいる。例えば情報漏えい事件では、機密情報への不正アクセス、そのダウンロード、USBメモリへのコピー、メール添付による外部への送付、横領事件では、会計データの改ざんなどが行われる。
こうした行為の痕跡はパソコンやサーバ、ネットワーク機器、携帯電話、スマートフォンなどに残ることになるが、不正を行った者がこうした痕跡を削除、破壊することにより証拠隠滅を図るケースもある。
コンピュータ・フォレンジックとは、不正を行った者のパソコンのハードディスクから証拠となるファイルを探し出したり、削除、破壊されたデータの復元、サーバのログファイルの分析による不正アクセスの割出し、さらには、データが捏造されたものかどうかを検証することなどにより、電子データについて「いつ」「誰が」「どのような操作を行ったのか」を明らかにする技術のこと。デジタル・フォレンジックと呼ばれることもある。フォレンジック(forensic)とは「鑑識」を意味する。
情報漏えいや横領事件は民事・刑事訴訟へと発展することがしばしばあるが、コンピュータ・フォレンジックにより得た証拠は訴訟で利用・・・
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