オイルマネーで潤うイスラム圏だが、イスラム圏の投資家から資金を集めたり、イスラム圏への投資を行う際の障害となりかねないのが、イスラム法の教義である「シャリア」だ。シャリアではそもそも利息を取ったり、社債を発行する行為が禁止されているほか、豚肉、アルコール、武器、賭博などに関係する投資も許されない。
このシャリアに抵触しない債券として考案されたものがスクーク(sukuk)である。ちなみに、シャリアに従っていることを「シャリア適格」という。要するに、シャリア適格の債券がスクークということになる。スクークでは、利息の代わりに、実体のある事業や資産からの収益が配当されることになる。
スクークに対するグローバル単位での需要は、2014年に5,360億米ドルに達するという(Thomson Reuters Zawya調べ)。一方、供給可能なスクークは3,060億米ドルにとどまっており、需要が供給を大きく上回る。これが2018年になると、需要が9,370億米ドル、供給が7,490億ドルと、需給ともに成長し、両者のギャップは徐々に小さくなると見込まれている。
ちなみに、スクークの流通市場で圧倒的な地位を占めてきたのがマレーシアだが(2010年頃はマレーシアのシェアが80%)、流通市場の成長とともにマレーシアのシェアは縮小し、2013年第3四半期実績では66%程度となっている。マレーシアに続く市場はUAE(アラブ首長国連邦)とサウジアラビアで、市場関係者が将来性に注目している国としては、世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアのほか、パキスタン、トルコがある。日本でも2011年5月の税制改正によって、税制面で社債と同等の扱いを受ける「日本版スクーク」が発行できるようになり、・・・
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。