株主総利回り(Total Shareholders Return)のことであり、株式投資により得られた収益(主に配当とキャピタルゲイン)を株価(投資額)で割った比率を指す。株式投資により一定期間で何%の収益が生み出されたのかを示す。
例えばある銘柄の株式を100万円で購入して、それを1年後に110万円で売却した場合、10万円のキャピタルゲインが生じる。さらに、配当を5万円受け取ったとすると、株式投資により得られた収益は15万円となるため、TSRは「15万円÷100万円=15%」となる。
もっとも、これは株主単位のTSRであり、企業単位のTSRは「一定期間における株価上昇率+一定期間における配当率(配当合計額÷当初株価)」により計算される。アベノミクス以降の日本企業の株価は軒並み上昇しているため、これに連動して各企業のTSRも上昇している。ボストンコンサルティングの調査によると、2013年におけるTSRの国別ランキングでは、日本は先進国の中でトップの59%だった。ちなみに、新興国も含めると、トップはドバイの117%となっている。逆に、株価下落局面ではTSRは低下するため、これを維持するためには配当を増やす必要がある。
上場企業の中にも、株主還元政策の1つとして「TSR重視」を打ち出し、数値を毎年公表しているところもある。TSRは株主の利益そのものに関する指標であるだけにメッセージ性は高いと言えるだろう。その一方で、・・・
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