地球温暖化は企業にとっても真剣に取り組まなければならない重い課題となっているが、温室効果ガスの排出を削減する技術の開発や代替エネルギーの導入といった気候変動対策を目的とする事業活動に資金の使途を限定した債券が「グリーンボンド」である。
2008年に世界銀行が初めて発行して以来、欧州投資銀行やアジア開発銀行、アフリカ開発銀行など公的な国際機関により起債されてきたが、昨年(2013年)後半あたりからは事業会社が発行体となるケースが目に付く。例えば昨年11月にはフランスの電力公社(EDF)がユーロ建てとしては初のグリーンボンドを起債したほか、今年に入ってからはトヨタの米国子会社トヨタモータークレジットや英国のユニリーバなどが起債を行っている。日本では10月に日本政策投資銀行が日本の金融機関として初めてグリーンボンドを発行した(リリースはこちら)。2014年には、発行額の半分は事業会社が占めると予想されている。
これに伴い、グリーンボンド市場は急成長しており、2013年には全世界で約110億ドルだった発行額は2014年においては既に第1四半期で90億ドルに到達、年間では400億ドルに到達する見込み。このようにグリーンボンド市場が急拡大している背景には、先進国の財政状態悪化と開発途上国における資金ニーズの拡大により、ODA(政府開発援助)等だけでは気候変動対策コストを賄い切れず、金融市場を通じた民間からの資金調達が必要になっているということがある。また、グリーンボンドを発行することは事業会社にとってもメリットがあるため、当該市場は益々拡大していくだろう。
企業がグリーンボンドを発行するメリットとして挙げられるのが、・・・
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