キャッシュフローに大きな影響を与える税負担に経営陣が関心を持つのは当然であり(むしろ関心がない方が問題)、「節税」は経営陣として合理的な行動と言える。もっとも、節税は、税務当局から追徴課税を受けかねない「租税回避」と紙一重であることも少なくない。
節税とは、「税法が予定する範囲内」で税負担を減少させる行為であり、あくまでも“合法”である。これに対し、例えば売上を意図的に計上しない(いわゆる売上除外)など、“不正”によって税を免れる行為は「脱税」と呼ばれ、違法に当たる。
節税と脱税の中間に位置付られるのが「租税回避」だ。租税回避とは、「経済合理性のない異常な取引」などにより税負担を減少させる行為を指す。租税回避は形式的には税法の規定を満たしている点で脱税とは異なるが、実際には税法の規定を満たしているように仮装しているケースもしばしばあり、脱税との区分は曖昧である。また、何をもって「経済合理性がない」「異常な」と言えるかの判断は難しいため、「節税」との区分も難しく、しばしば企業と税務当局の紛争の一因となっている。
こうした租税回避を防止する税法上の規定が「行為計算否認規定」である。行為計算否認規定とは、・・・
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